ヴドレンヌ家の双子、ジョアネとフィルマンは《ワイン商》を営むため、生まれ故郷のコレーズ県からベルギーやフランスの北部に移り住み《巡回ネゴシアン、ヴドレンヌ兄弟》社を創立します。巡回ネゴシアン業は既に10～20年前から怖いもの知らずのフランス人が始めていた職業であり、彼らの兄レオナ―ルもその一人でした。

共に結婚し家族をもった彼らは別々に新しい仕事を始めることで合意し、二人ともリブルネへ移り住みます。一人はクロ・ラ・ガンヌを、もう一人はクロ・ブラン・マゼーレを購入しました。共にポムロールのシャトーです。

ジョアネの死後は妻のエリーズが引き継いでいましたが、1946年に彼らの息子ルネが法学の勉強を中断して家業に加わりました。叔父の事業も買い取った彼は《マス・オルリュック&クソン》社を設立し、ブルターニュやノルマンディを始めとする国内全域の個人客へのワイン訪問販売網を形成していきます。

ルネ・ヴドレンヌはラランド・ド・ポムロールにあるシャトー・サブラール・デュ・グランモワーヌを入手します。樹齢の高いメルロが植えられた良質な砂礫土壌の一区画だけのシャトーでした。彼は次々に周囲の区画を買い足して栽培面積を拡大し、同時にシャトー・フレール・ド・ジャン・ゲも入手します。現在この二軒のシャトーの合計栽培面積は14ヘクタールに達しています。ヴドレンヌ氏はリブルヌのワインネゴシアン組合長の他、商業裁判所の第二法廷の代表を務めるなど活発に活動しています。

ヴドレンヌ氏の孫で、ボルドー高等商業大学校卒のグザヴィエ・マジャンが同社に入社し、輸出業務を担当します。その後2002年、彼は同社を買収します。

現代的で機能性に優れた新家屋をリブルヌに建築（2000m2の広さにオフィスとボトル貯蔵庫を設置)します。

メゾン・ヴドレンヌはメゾン・ケールを買収し、同社のCHR（カフェ・ホテル・レストラン）分野での専門販売網も入手します。メゾン・ケールの社員は全てリブルヌに集められ、またケール家所有のシャトー（ル・ムラン、パトリ、ブラン・デスパーニュ）のワインも共同販売の対象とされました。これに加えて同年、大・中規模スーパーマーケットや卸業者への販売を専門とするC.I.D.社も買収しました。

メゾン・ヴドレンヌは優れた管理部門と流通部門を擁し、今日ではボルドーワイン販売における専門性の高い企業として、確固たる地位を占めています。今後は従来の市場（個人客や伝統的な販売網によるもの）の強化は勿論のこと、中間業者を通さない販売と輸出の発展に努めていく予定です。